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献詠短歌5月優秀作品
2011-05-16
宮崎神宮献詠短歌会5月の優秀作品をご紹介いたします。
5月兼題「藤」 選者 堀家博子
天 病室の窓より見ゆる藤波の時に溢るる光とも見し 倉敷市 萩原節子
(評)入院して孤独で不安な日々。風に光を返す藤の花房を病室の窓から
見ている作者である。藤波とあるから藤棚の花房を思った。
「時に溢るる光」という作者の感性に脱帽し、美しい藤の花に安らぎ、
励まされたに違いない。
地 培ひし君今は亡く鉢植ゑの白藤の房地にとどかむばかり 宮崎市 徳永さち子
(評)大事にまた自慢もしていた君の白藤の大鉢に、在りし日の君を偲ぶ作者。
その藤が枯れることなく、真っ白い房を垂らして庭に届きそうに咲いている。
簡潔に詠みながら、写生の裏に無常観が出ている。
人 山藤のいま咲き盛ると聞けばまた母在す家ふる里恋し 倉敷市 萩原紫文
(評)上の句は母との電話「今藤の花が真っ盛りよ」というやり取りの中で急に
母が古里が恋しくなった作者である。藤の花に触発されて「母在す家ふる
里恋し」の結句が感情を抑えながら表現された。どうぞ折々に母上のもとへ
帰ってあげて下さい。
この他にも多数の作品が寄せられております。
尚、6月の兼題は、「浜木綿」です。興味のある方は、ご連絡下さい。
宮崎神宮献詠短歌会 担当須田