ブログ
献詠短歌7月優秀作品
2011-07-22
宮崎神宮献詠短歌会7月の優秀作品をご紹介いたします。
7月兼題「海」 選者 堀家博子
天 フェリーに行く錦江湾はみちのくの日々知らぬげにひたに凪ぎ居り 熊本市 松山 浩一
(評)地震・大津波・原発事故と起こった東日本の災害が心を離れない昨今です
が、旅先の作者は、フエリーの上に穏やかに凪ぐ海を見て、何時もとは違う
思いを感じ取り一首にしたのです。海を擬人化、「日々知らぬげに」が効い
ている。
地 海ゆかばの歌聞けば思う比島沖に果てし亡き兄逝きて六十六年
宮崎市 富永マサエ
(評) 比島沖はフイリッピン沖のこと。その海に戦死して果てた兄上を海をみる度
宮崎市 富永マサエ
(評) 比島沖はフイリッピン沖のこと。その海に戦死して果てた兄上を海をみる度
に偲ぶ心情が一首になった。風化して遠くなった戦争の悲劇は計りしれない
が、私たち世代は折につけ歌に詠み継いで行くべきと思います。
人 終戦の夏大連の浜に佇ち海遠く隔つる日本思ひにき
宮崎市 野邉 純子
(評)旧満州大連で終戦を迎えた頃。敗者の立場に加え引揚げの事情にも不安が
宮崎市 野邉 純子
(評)旧満州大連で終戦を迎えた頃。敗者の立場に加え引揚げの事情にも不安が
つのり遠く隔たる日本に心を馳せたというのです。回想詠なので下の句を過去
形の表現にしたい。「はるかなる日本の国を恋ひにき」「遠く隔たる日本思ひに
き」・・
この他にも多数の作品が寄せられております。
尚、8月の兼題は、「蝉」です。興味のある方は、ご連絡下さい。
宮崎神宮献詠短歌会 担当 須田