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献詠短歌9月優秀作品
2011-10-02
宮崎神宮献詠短歌会9月の優秀作品をご紹介いたします。
9月兼題「風」 選者 堀家博子
天 暮れ早くなりたる庭にありなしの風がゆらせる白きコスモス
倉敷市 萩原 紫文
倉敷市 萩原 紫文
(評)秋ふかむ風景が素直に無駄なく詠まれている。暮れどきの白いコスモスに焦
点を当てた素直で無駄のない作品に心惹かれた。「ありなしの風」に白く揺れ
るフファンタジックな情景に何か寂しさや詩情の漂った作品である。
地 「風立ちぬ」さやけき語よと思ひつつ堀辰雄開く今日も真夏日
熊本市 松山 浩一
地 「風立ちぬ」さやけき語よと思ひつつ堀辰雄開く今日も真夏日
熊本市 松山 浩一
(評)「風」という題詠に作者の心にひらめいたのは、愛読書の「風立ちぬ」。
若い頃に読んだ人も多いと思うが、今年の酷暑にも文学に親しんだ作者だろう。
作者の生き方も伝わるような一首で、堀辰雄に寄りかかった歌という見方もある
若い頃に読んだ人も多いと思うが、今年の酷暑にも文学に親しんだ作者だろう。
作者の生き方も伝わるような一首で、堀辰雄に寄りかかった歌という見方もある
かと思うがうまく纏めている。・・・二句の「語」は「フレーズ」ではいかが?
人 牛や豚の鳴き声あかるく戻りきて早朝の清しき風わたりゆく
宮崎市 川口 末子
(評)ウイルスがどんな経路で入ってきたのか、口蹄疫を止めようもなく、二十万
頭もの家畜が埋脚された苦悩と悲しみの月日は県民にも長かった。この一
首は健康な牛や豚が戻ってきて、畜産の復興にエールを送りたい万人の気
持ちが下の句に籠められている。まさに清涼な風を表現できていると思う。
この他にも多数の作品が寄せられております。
尚、10月の兼題は、「鵙(もず)」です。興味のある方は、ご連絡下さい。
宮崎神宮献詠短歌会 担当 須田